これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

ブルー・オーシャン戦略(3) 原則1「市場の境界を引き直す」

ブルー・オーシャン戦略のまとめ続き。今度は6つの原則を1つずつ見ていきます。今回は、その1つ目。

市場の境界を引き直す

ブルー・オーシャン戦略が実現すると、新たな市場が開拓される。既存の市場領域とは違う部分に目を向け、市場と市場の境界線を引き直すのだ。新たな市場領域へ至るための6つのPathについて説明する。

Path1「代替産業に学ぶ」

代替関係

同じ業界内の単なる代用品ではなく、異なる業界に、機能や形状は異なるが、同じ目的のために使う製品やサービスがある。これを代替材という。
例えば、個人資産管理ソフトウェアと会計士や税理士は、資産管理を助けるという面で同じ役割を果たしている。また、レストランと映画館についても、「外出して楽しい夕べを過ごす」という同じ目的を持つ。これらは、お互いに代替関係を持つといえる。

買い手の視点を考える

代替関係にある製品やサービス同士を、買い手はどう比べて判断を下しているのだろうか?
この問いかけが、新たな需要を掘り起こし、市場の境界を引き直すきっかけとなるのだ。

代替産業同士の狭間

通常、我々は同業他社の変化には敏感に反応する。しかし、代替産業の変化(新しいサービスが生まれた等)には、気づくこと自体が稀である。しかし、そこにこそバリュー・イノベーションの機会があるのだ。

  • レッド・オーシャンで闘う企業は、業界内のライバル企業に照準を合わせる。
  • ブルー・オーシャンを切り開く企業は、代替材や代替サービスを提供する業界に着目するのだ。

Path2「業界内の他の戦略グループから学ぶ」

戦略グループ

同じ業界であっても、戦略の切り口という観点からグループ分けすることができる。例えば自動車産業で、ファミリーカー路線の戦略をとるグループと高級車路線の戦略をとるグループがあるように。

他の戦略グループに目を向ける

通常、我々は他の戦略グループの動きに注意を払わない。このような狭い視野は克服しなければならない。他の戦略グループから学べ。
顧客が他の戦略グループへ移ろうとするとき、いったい何が決め手になっているのだろうか?

  • レッド・オーシャンで闘う企業は、戦略グループ内での競争上のポジションに目を向ける。
  • ブルー・オーシャンを切り開く企業は、様々な戦略グループを見渡す。

Path3「買い手グループに目尾を向ける」

買い手グループを問い直す

通常、我々は同一の買い手グループをターゲットとする。これはほとんどの場合で、過去のしきたりを引きずっているだけだ。医薬品業界は医師をターゲットとし、オフィス機器業界は購買部門をターゲットとしている。
どの買い手グループに目を向けるべきか、問い直してみよう。

新たな買い手グループへ焦点を合わせる

見落としてきた買い手の存在に気づくことができたら、価値曲線をどう直せばそこに焦点が合うか見えてくるだろう。

  • レッド・オーシャンで闘う企業は、買い手の要望により良く応えることに力を注ぐ。
  • ブルー・オーシャンを切り開く企業は、買い手グループを問い直す。

Path4「補完財や補完サービスを見渡す」

トータルソリューション

買い手のトータルソリューションに対するニーズに、潜在的な価値を見つけよう。製品やサービスの利用前・利用時・利用後のシチュエーションを想像するのだ。
自分達の製品やサービスを利用する前や利用した後に、買い手は何をするのだろうか?あるいは、同時に利用する他の製品やサービスは何だろうか?

  • レッド・オーシャンで闘う企業は、業界の枠組みの中で製品やサービスの価値を最大化しようとする。
  • ブルー・オーシャンを切り開く企業は、業界の枠組みを超えて、補完財や補完サービスを見渡す。

PCに様々なアプリケーションをプリインストールするのは今では普通のことだけど、それはこういう事だったのかしら?最初に始めたとこって、どこだろう?MSのOfficeかなぁ。<一太郎を駆逐した

Path5「機能志向と感性志向を切り替える」

アピールポイント

製品やサービスが機能面をアピールしているのか、感性面をアピールしているのかは、同じ業界であれば同じ傾向にある。つまり、機能面に訴える業界と、感性に訴える業界に分かれていると言える。

転換する

機能志向から感性志向へ、感性志向から機能志向へ切り替えることで、未知の市場空間が見えてくる。
感性志向の業界であれば、機能向上に繋がらない余計な要素を盛り込む傾向にある。余計な要素を削ぎ落とすことで、シンプルでコストも価格も低いビジネスモデルにすることができる。
機能志向の業界であれば、各社ともに同じような機能を揃えてくるため、コモディティ化している。感性に訴える要素を添えて、製品に潤いを与えてみよう。

  • レッド・オーシャンで闘う企業は、価格・パフォーマンス比を改善する。
  • ブルー・オーシャンを切り開く企業は、機能志向あるいは感性志向を問い直す。

ノートPCの業界って機能志向だと思うけど、MacBookは感性志向の要素を高めた製品だなぁ。ちなみに、機能志向 → 感性志向の場合、潤いを与えつつも、多すぎる無駄な機能を削るって選択肢も考慮にいれるんだろう、と。そういえば、ソフトウェアの受託開発は明らかに機能志向だよなぁ。さて?

Path6「将来を見通す」

現在から将来へ視線を移す

外部環境からの影響を考え、今後のトレンドを見極めよう。
トレンドが顧客価値をどう変えるのか?自社のビジネスモデルにどう影響してくるのか?
トレンドを見通すための3つの原則。

  1. 事業に決定的な意味合いをもたらす
  2. 一過性のもではなく、後戻りしない
  3. はっきりとした軌跡を描く
  • レッド・オーシャンで闘う企業は、外部トレンドへの適応を目指す。
  • ブルー・オーシャンを切り開く企業は、将来にわたって外部トレンドの形成を目指す。

オフショア時代に適応しようとしている企業とオフショアを仕掛けた側の企業・・・?

新しい市場空間を思い描く

新しい市場に向かって、思いつきや直感で試行錯誤しても、なかなか成果は上がらない。
体系だったプロセスを踏みながら、

  • 市場のあり方を一変させる
  • 業界や市場の垣根を越えて新しい要素を入れる
  • 不要な要素を削ぎ落とす

といったことを行おう。


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