これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

読書: 超!部下マネジメント術

なんと石田淳氏の新著を献本いただいた!嬉しくて、速攻で読んで全力でレビュー。
この本は「人を育てる技術」の本だ。技術ということは、再現性があるということだ。技術ということは、訓練次第で習得できるということだ。
そして、この本に載っている育てる「技術」は本当に凄い。部下を持つ人、教師、あるいは子供を持つ親であれば、育てられる人のためにも、そして自分のためにも読んでおきたい良本。


超!部下マネジメント術-1/3の時間と労力で人が育つ!インストラクショナルデザイン-
石田 淳
インデックス・コミュニケーションズ
売り上げランキング: 148
おすすめ度の平均: 4.5
4 行動科学との融合
5 これは良い!

何故、育成に技術が必要なのか

なぜ育成に技術が必要なのだろうか。
これまで、人が上手く成長できなかった場合、大抵はその原因を学ぶ側に求めてきた。

  • これだけ教えているのに、それでも分からないのは教えられる側に原因がある!

そう考えられてきたのだ。基本的に学ぶ側より教える側の方が周囲から評価されているので、教える側の言葉が優先されやすい、という流れもあったかもしれない。恥ずかしながら、私自身も教える側の立場として、こういった行動をとってしまったことがある。
しかし、この本を読むと分かる。それらは全て間違いなのだ。単に教える側に技術がなかっただけなのだ。
育成において最も重要なのは、学ぶ側の能力ではない。教える側の育てるための技術、それこそが最重要なのだ。技術なき育成は、単なる「教えたつもり」でしかないのだと思った。


とはいえ、これまで、多くがそうなってしまったのは仕方のないことかもしれない。上司・先輩は、担当業務のプロではあるが、育成のプロではないからだ。
しかし、だからこそ!いま育成の技術を身につけることは、自分と周囲の力を競争優位な位置に引き上げるために有効だろう。

インストラクショナルデザイン

本書で提案している育成手法は「インストラクショナルデザイン」といい、その効果として、

  • 部下を育成するための明確な設計図がつくれる
  • その設計図にそって指導を行えば、育成の効果・効率が格段に高まる
  • 育成設計は一度つくっておくと、どの部下に対しても使える

があげられる。また、育成計画を作成・実践するにあたっての原則として

  1. "部下は常に正しい"が大前提
  2. すべてのインストラクションは「行動」に落とし込まなければいけない(「行動」はできるだけ具体的な言葉やビジュアルで表現すること)

がある。


原則を踏まえた上で、以下の3ステップで進める。

  1. 戦略的な指導によって部下を確実に成長させるための指導プラン(=設計図)を作成する
  2. 「ガニェの9教授事象」に従い、部下に向けて指導を実施する
  3. 部下が「学んだことを、ビジネスの現場で活用できる」ように、部下に「実践・継続」させるための指導を行う

本書には、それぞれのステップについて、具体的で実践的な解説が載っている。単に、計画して実践するだけではなくて、上手く実行できていることをチェックするための仕組みまでも、戦略的に組み込んであるやり方だ。これがとても素晴らしい。

実践できる本

石田さんの本は、どれも具体的で実践的だと思うが、この本も例外ではない。その気になれば、直ぐにでも行動に移すことができる内容になっているので、読めば必ず役に立つだろう。


また、最後に、部下の育成が、同時に自分のためにもなることを強調するために、下記の箇所を引用しておきたい。

本書の内容を通じて、

  • 「教えるべきこと」を正確に見極める
  • 相手に確実に伝わる方法で知識や技術を教える
  • それを実践・活用し続けられるように「強化」していく

といった手法を身につければ、あなたは間違いなく、マネジメントスキルだけでなく自分自身も成長します。
さらに「部下成長マネジメント計画」には、通常の3分の1の時間と労力で、部下を育てられるためその結果、自分の時間がつくり出せる特徴もあります。
「ヒマがないから」とあきらめていた勉強を始める。家族との時間を増やす。趣味の時間に充てる、など。
手に入れた時間をどのように使うかは、あなた次第です。

本書から学ぶべき信念
  • 部下は常に正しい。部下が育たなかったとき、部下が間違った行動をとったとき、その原因は指導方法の中にある。
本書から得るべき質問
  • 思うように人が育たないのは、指導方法のどこがまずいのだろうか?
  • 問題は計画・指導・実践・継続のどこにあるのだろうか?
  • 指導方法を改善するには、どうすればいいだろうか?