これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

行動するためのタスク管理とはどういうことか(3)「大きな目標」

私が開発しているO.SHI.GO.TOというタスク管理用Webサービスには、「行動するためのタスク管理」というコンセプトがあります。では、この行動するためのタスク管理とは、どういうことでしょうか。そこをもうちょっと掘り下げたくて、エントリーを書いてみることにしました。

次は「大きな目標」に向かって行動をするために、です。

大きな目標へ向かう

細分化が有効なのはどこからか

細分化は大きなタスクを分解し、具体的な小さな行動を見出す手助けをしてくれます。では、細分化は掲げた「大きな目標」に向かうのにも有効なのでしょうか。
残念ながら、私は今はあまり有効ではないと考えています。細分化とは、あくまでタスクの細分化です。目標はタスクではありません。細分化のアプローチがとれるのは、あくまで目標へ近づくためのタスクが見いだせてからなのです。

マイルストーンは現在地から未来への道標

以前、以下のように書きました。

「本当に大切にしたいこと」が見えてきたら、今度はそれをベースに場面や役割ごとの目標を設定します。仕事において達成したいことは何か?家庭では?友人関係では?自己の成長においては?など。その後、それらについて5年後、3年後、1年後、3ヵ月後あたりを想定して、マイルストーンを設定していきました。

ここで言うマイルストーンとは「最終的にはこうなりたい。だから、この時期にはこうでありたい」を表現したものだと思います。5年後や3年後は、「何となくこうありたい」でも多分大丈夫だと思うのですが、1年以内の近い時点のマイルストーンは、単純に大きな目標をブレイクダウンするだけでは見えてきません。
近い時点のマイルストーンを見つけるには、現在地を知らなくてはなりません。現在地を知るとは、目標が達成された状態と今とのギャップを知るということです。そして、そのギャップの原因を知るということです。
それを把握せずに、マイルストーンを見つけることはできませんし、ましてやタスクという更に細かく具体的なものを適切に見つけることは、到底不可能な話だと思います。

問題分析・解決のアプローチが必要

近い時点のマイルストーンやタスクといった「具体的な課題」を見つけるには、問題分析・解決のアプローチが必要になるのだと思います。大雑把に以下のような手順になるかと思います。

  1. 目標と現状のギャップを見つける
  2. ギャップの原因は何か、掘り下げる
  3. 見つけた原因に対して、「どうする」を決める
  4. 「どうする」が当面達成したことになるので、そこに到達するために不足しているリソースを洗い出す
  5. 不足しているリソースを得るためのタスクを設定する

いまの私とは若干考えが異なりますが、問題分析と解決の方法 - 今日とは違う明日にもうちょっと詳細に書いてありますので、興味があればどうぞ。また、問題解決については、『いきいきする仕事とやる気のつくり方—幸せなITパーソンになるための』も大変参考になりますので、是非。


ちなみに不足しているリソースが「エネルギー」や「時間」だった場合、「タスク」ではダメだと思っています。これらを得るために必要なのは、タスクをこなしていくことではなくて「習慣を身につけること」だからです。

成功へ向けた失敗の仕方

また、実際に行動を始めると、大きな目標を目指しているが故に失敗をすると思います。そして、この失敗の仕方にも「良い失敗」と「悪い失敗」があるようです。勝間和代さんは、『勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践』の中で

よい失敗
未知の状況の中で、限られた情報から、見込める最大リスクの範囲内でベストの判断だと思って行ったけれども、結果的に失敗になったもの。

と表現されていました。
間違っているかもしれないけれど、その時に自分なりに必死で考え、仮説を設定し、行動してみる。そして、その結果を検証し、再び仮説設定に挑む。これを繰り返していくことが、失敗を失敗のままで終わらせないポイントなのだと思います。
そういえば、『仕事は楽しいかね?』に

試してみることに失敗はない。試すことが欠落する、それこそが失敗なのだ。

という言葉が書いてあったのを思い出しました。良い失敗とは何か知っていれば、行動することに勇気も沸いてきます。試すことに積極的になれます。そして試すことを続けることができれば、つまり良い失敗を繰り返すことができれば、目標へ到達する可能性が高くなるのだと思います。

目標達成のためにタスク管理ができることは、ほんの一部

こうして考えていくと、「大きな目標」を達成するためにタスク管理ができることは、ほんの一部です。それよりも、

  • 問題分析・解決のアプローチ
  • 習慣を身につけること
  • 仮説-行動-検証のサイクルをまわすこと

といったことの方が重要なようです。これらが出来て、初めてタスク管理の出番がやってくるのでしょう。


では、O.SHI.GO.TOをどうするかということになるのですが、これは「タスク管理ツールであること」と「行動するための支援ができること」の、どちらが重要なのかということだと思います。で、よりコンセプトに合致するのがどちらかといえば、考えるまでもなく後者なのです。
だから「タスク管理」という領域を飛び越えて、利用者が自身の手で自身の望むものを手に入れるために、「数年後の大きな目標」から「いまにフォーカスした行動」までをトータルでサポートできるように育てていきたいのです*1


あ、(俺|私)、いい感じに行動できてるじゃん!


そんな感覚を日々もってもらうこと。それがO.SHI.GO.TOを通して、利用者に提供したい価値なのだと思いました。

*1:単一のツールでそれを全て提供するかは、また別の話ですが