これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

行動するためのタスク管理とはどういうことか(4)「継続すること」

私が開発しているO.SHI.GO.TOというタスク管理用Webサービスには、「行動するためのタスク管理」というコンセプトがあります。では、この行動するためのタスク管理とは、どういうことでしょうか。そこをもうちょっと掘り下げたくて、エントリーを書いてみることにしました。

前回のエントリーで終わってもよかったんですが、まだ思いついたので続きです。
今回は「継続すること」についてです。

継続すること

継続するのは難しい

小さな行動を地道に続けることが、大きな成果に繋がります。
しかし、この「続ける」という行為は、結構難しいことだったりします。特に緊急性の低いこと(でも重要なこと)は、プレッシャーもあまり存在しませんので、いつの間にかやめてしまうことが多いものです。
こういった行動を継続するには、どうすればいいのでしょうか。

人はどんな行動を繰り返すのか

人は好きなことは繰り返し行い、嫌いなことは回避しようとします。
ここでポイントになるのは、この好き・嫌いの対象は行動そのものになるということです。行動のずっと先にある成果や目的が好ましいものでも、行動そのものが嫌なことなら、人はその行動を回避したくなるのです。例えば、ダイエットなんかが失敗するのは、ダイエット成功後の成果がいかに好ましいものでも、日々の行動が嫌になって回避するようになるのが原因です。
このように、成果ではなく行動そのもの、あるいは行動の直後の結果に好き・嫌いがくっついてくることを、行動随伴性といいます。

人が行動を繰り返すとき、そこには主に2つの要因があるらしい。

* その行動によって望ましいものが得られる
* その行動によって嫌なものが回避される

このどちらかが行動の結果にあると、その行動は増加する。逆に、

* その行動によって嫌なことが起きる
* その行動によって望ましいものが得られなくなる

といった結果が行動についてくると、その行動は減少する。

行動随伴性をベースに考えたとき、行動を繰り返すポイントは、以下の2点になります。

  1. 行動に「好き」が伴うと、その行動は繰り返されやすくなる
  2. 行動しないことに「嫌い」が伴うと、それを回避するために、その行動は繰り返されやすくなる

1点目は言うまでもないかと思います。2点目については、例えば、与えられた仕事を「やらない」ということに対して、「上司に叱られる」という嫌いなことが伴えば、それを回避すべく仕事をすることになるでしょう。緊急性のある仕事が片づいていくのは、こういったところにも理由があるんじゃないでしょうか。
要は、これから繰り返しやろうとすることに対して、なるべく短いサイクルで「好き」を得られるようにしてあげればいいのです。あるいは「嫌い」を回避できるようにしてあげればいいのです。


さきほど、ダイエットの例をあげましたので、ここでも取り上げてみます。
数ヶ月前に、レコーディング・ダイエットというものがネット界隈で流行りました。この手法は、実に上手く行動に「好き」「嫌い」を伴わせているのです。

  • 初期の段階で効果がでるダイエット方法であること
    • 直ぐに行動に対して「好き」という強化がされる
  • 記録と1日1500Kcalという目標
    • 1500以内に収まれば気分が良いし、越えれば嫌な感じがする
    • 記録することによって、それがハッキリと分かる
  • 食べたら全て記録するというルール
    • 記録するのが面倒なので、食べるのを回避することも
「タスク管理」という習慣

さて。
どうやってタスク管理の話につなげれば良いのか分からなくなりました(またか)。ここまで書いてきたことは、タスク管理というよりも習慣の話なのです。
しかし、良く考えれば「タスク管理を行うこと」そのものは、まさに習慣だったりします。しかも、どんな手法でタスク管理しようとも、ある程度すぐに「好き」が得られ、「嫌い」が回避できる取り組みやすい習慣だと言えます。
仕事が全てリストアップされれば安心感を得られますし、やるべきことを忘れてしまうという嫌なことが回避できるようになります。
1つのタスクを終えて、タスクリストから消し込む瞬間は快感だし、リストから全てのタスクが消えたらとても爽快です。

O.SHI.GO.TOについて

O.SHI.GO.TOはタスク管理ツールです。しかも、「行動するため」の。
なるべく行動できるようにするためには、そこに「好きを得られる」あるいは「嫌いを回避できる」を埋め込むことができればいいような気がします。
これについては、既存のものからヒントを得られます。

  • NowDoThisは全てのタスクを完了すると、緑の文字で「All done.」と言ってくれます。これは結構気分がいい。
  • JUnitは緑と赤のバーが気分に影響を与えます。緑のバーを観ることができたときは、本当に気分がいい。何時までも赤いバーが出ているときは、ウンザリします。
  • OS XiPhoneは、そのUIのかっこよさそのものが「好き」を感じさせてくれます。ただ、これはしばらくしたら慣れてしまうでしょうが。
  • 「こうしたい」と思った通りに操作できないツールには、「嫌い」が生じます。
  • はてなスター、はてぶ、RSSの購読、アクセス数などは、ブログを書いていく上で「好き」を感じさせてくれるものです。

他にもたくさんありそうですが、こういったことをヒントにして、

  • O.SHI.GO.TOを使うことそのものには「好き」を感じてもらい、「嫌い」を感じさせない
  • タスクを完了させることに「好き」を感じてもらい、残し続けることに「嫌い」を感じさせる
    • 特にその人にとって重要なタスクであればあるほど!

といったことを考えていきたいなぁ、と思うわけでした。