これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

読書履歴:だれかに話したくなる小さな会社

だれかに話したくなる小さな会社
浜口 隆則 村尾 隆介
かんき出版
売り上げランキング: 298
おすすめ度の平均: 5.0
4 風呂に入りながらでも、ゆったりと読みたい本
5 簡潔だけど奥深い「ブランド本」
5 小さな会社、だからこそ...
5 読んで行動、これだけで足りるのでは?
5 時期的にもピッタリでした。

良本。
ブランド化とは、小さな会社が、大企業にも負けないくらいの輝きを放つための戦略だと思った。

ブランド化とは、自分達の価値を分かりやすく伝えること

ブランドを作るとは、

  • 自分達のお客様に対して
  • 自分達だけが提供することができる価値を
  • お客様にとって分かりやすく伝える

ということだと理解した。
「自分達のお客様」に対して伝えるということは、万人へ向けたメッセージではないということだ。本書では、「たった一人へ向けたメッセージ」と表現している。だから、メッセージを受取った方は分かりやすい。何せ、そのメッセージは自分専用のメッセージなのだから。しかし、たった一人ヘ向けたメッセージとは言っても、実際には同じ欲求や希望を持った人は、数多くいる。結果として、その人たちが「たった一人へ向けたメッセージ」に惹かれて興味もってくれる。
また、分かりやすいからこそ、何が期待できて、何が期待できないのかが、はっきりと理解できる。購入へと踏み切りやすくもなるし、購入後の満足度も自然と高くなるのだろう。


ブランド化の究極の目的は、お客様に自分達のファンになっていただくことなのだろうと思う。ファンになってもらえれば、積極的に売り込みをかけなくても、繰り返し訪れてくれるだろう。気持ち良く、購入してくれるだろう。
ファンになるのは、お客様だけではない。そこで働く社員、ビジネスパートナーも対象だ。ブランドから発せられるメッセージに惹かれたり、あるいはそれを自分達が実現していることに誇らしさを感じるのではないだろうか。
本書では、ブランド化を実現することで、外へ向けて必死に必要なものを取りにいかなくても、自然と外から集まってきてくれるのだという。だからこそ、ブランド化とは、リソースの少ない小さな会社の取るべき戦略なのだ、と。

関わる人全てが同じ方向を向くこと

そんなブランドを築くためには、どこかにほころびがあってはいけない。
恐らく、ブランドを作るのは簡単ではない。どこを切り取ってみても、ブランドから発せられるメッセージに矛盾していてはいけないのだから。そのためには、そこに関わる人全てが、同じ方向を向いていなければならない。自社だけでなく、ビジネスパートナーも巻き込んでいく(自分達のファンになってもらう)ことになる。
多分、ブランドそれ自体か、または実現するためのプロセスが、お客様・ビジネスパートナー・社員・経営者の全てにとってのWINをもたらすものでなければならないだろう。


ゆえに、ブランドを築くための第一歩は、そこのリーダーがブランドの発するメッセージの体現者たることだ。リーダーには、繰り返し繰り返し、諦めることなく伝えていくという地道な行動が要求される。そうやって、理解と活動の輪が少しずつ広がっていった先に、ブランド化があるのだろう。
何とも困難な道のりではあるが、だからこそ、その実現を目指すことに何とも言えないワクワク感を感じてしまう。