これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

読書履歴:史上最強の人生戦略マニュアル(4)

史上最強の人生戦略マニュアル
フィリップ・マグロー
きこ書房
売り上げランキング: 79
おすすめ度の平均: 3.5
3 読むかどうかは慎重に。
5 やる気はあるけど、何をすべきかわからない人へのマニュアルでしょうか
2 内容は良いみたいです
1 翻訳の力不足
3 読む人を選ぶ本

『第四章 「見返り」が行動を支配している 人生の法則3 《人はうまくいくことをする》』より

この章に書かれていることは、かなり重要。

気にもとめずにこうした行動(論理的でない、望ましくないマイナスの結果にしかつながらない行動)をとるのは、あるレベルではそれでうまくいっていると感じているからだ。「うまくいっている」というのは、望ましくない行為に見えても、その行為から何らかの見返りを得ているということだ。

一部の行動に対して見返りを得ているのではない。あらゆる行動に対してつねに見返りを得ているのだ。

私たちは、日常のあらゆる行動において「見返り」があるから、その行動を意識的に、そして無意識的に選択している。止めたい行動でも継続した行動でも、望ましい行動をとり続けるためには「見返り」が何なのか認識する必要がある。
この「見返り」とは何なのか。それが明らかな場合もあれば、なかなか分かりづらい場合もある。本書では、以下のような例が載っていた。

  • 仲の良い生き生きとした両親
  • 先天的な障害を持つ子供が生まれた
  • 2番目の子供は養子で元気
  • 上の子供が病気になり無くなった
  • それ以降、両親は2番目の子供に愛情を示すことができなかった

この例で、両親は下の子供に対して愛情を示したいと思っており、かつ愛情を示すことのできない自分達を責めている。なぜ、このようなことがおこるのか。ポイントは

  • 全ての行動には見返りがある

だ。この場合の、愛情を示さないという行動に対して、以下のような見返りがあったのだ。

  • 上の子供に対して強い愛情を持って接していたがために、失ったときに強い苦しみを味わった
  • 下の子供に愛情を示そうとする度に、その苦しみがよみがえってきていた
  • 故に愛情を示さないことは、苦しみから逃れられるという見返りがあった

非合理的な行動であるにもかかわらず、その行動を続けてしまうのは、このように隠された見返りが存在しているからなのだ。だから、

何らかの行動を止めたいと思っているならば、その「見返りを断ち切る」必要がある。

ということになる。まずは見返りを認識すること。認識すれば、コントロールできる可能性も生まれる。この辺りには行動分析学が使えそうだが。
もっとも、これをコントロールすることの難しさは、以下の記述を見ればわかるし、私自身の経験でもよく分かる。

拒絶されることへの恐怖が強すぎて、その不安から逃れるという見返りが、仲間に入りたいというあなたの欲求を押し切ってしまうこともあり得る。

(拒絶されることの)恐怖が大きすぎて、避けるためなら何でもすると言っていいくらいになることがある。

行動を選ぶとき、あなたは結果も選んでいる。「今すぐ」苦痛から解放される、あるいは「今すぐ」見返りを得るというのには、きわめて強い力がある。

だけれども、行動を変えるためには「事実」を認識しなくては始まらないのだろう。