前回からの続きです。
今回も「思考は刺激反応連鎖によって自発する」についての話です。
少し復習しておきます。
まず、刺激反応連鎖とは、
前の行動をきっかけとして、連なるように次の行動が自発する
ことを言います。
思考の場合、「ある刺激」を元に「決まった思考のクセ」が起きやすい、ということが言えます。
例えば、
条件:部長が客先から戻ってきた。
思考:確か先週もめてた案件の打ち合わせだったな。
思考:心なしか機嫌が悪そうに見える。
思考:近くにいると八つ当たりされるかもしれない。嫌だなぁ。
といった思考をするかもしれません。
こういった思考は、自己ルールの生成も同時に行っています。
- 先週もめてた案件の打ち合わせだから、機嫌が悪いはずだ
- 機嫌が悪い部長の近くにいると、八つ当たりされるかもしれない
などです。
そして、私たちはルールに沿った行動を取ろうとしますので、生成されたルールに従い、次のような行動を取るかもしれません。
行動:タバコを吸いに行く
結果:部長の八つ当たりを避けることができた!(と思い込む)
このようなメカニズムが分かったところで、これをどうすれば私たちの日常の改善に役立てることができるのでしょうか。
思考も行動ですので、行動を変えるためのポイントは2つです。
即ち、「条件を変える」または「結果を変える」です。
前回は、条件を変える3つの方法である
- 外的な刺激に条件付けされた感情を利用する
- 言語に条件付けされた感情を利用する
- 身体的な動作に条件付けされた感情を利用する
のうち、1つ目の「外的な刺激に条件付けされた感情を利用する」、そして2つ目の「言語に条件付けされた感情を利用する」についてお伝えしました。
今回は、身体的な動作に条件付けされた感情を利用する方法をお伝えします。
皆さんに伺いたいのですが、次のシチュエーションで、皆さんはどんな表情をしますか?
- カフェで珈琲を飲んでいると、誰かが話しかけてきました。誰だろうと思ってみてみると、密かに恋心を抱いていたクラスメートの彼女(彼)でした。
ウキウキして笑顔になりそうですね。
人によっては、照れ隠し的にわざと憮然とした表情をするかもしれませんが(笑)
では、今度は次のシチュエーションではどうでしょうか?
- カフェで珈琲を飲んでいると、誰かが話しかけてきました。誰だろうと思ってみてみると、いつも眉間にしわを寄せて、だれかれと叱りつける厳しい先生でした。
今度は如何ですか?
「うわ」と思って表情が硬くなるかもしれませんし、何とか和やかな雰囲気を作ろうと、作り笑いをする人もいるかもしれません。
別にどんな対応があっていて、どんな対応が間違っているとかは、今回はどうでもいいのです。
では、なぜこのような問いかけをしたかというと、私たちは、
様々なシチュエーションに応じて、
自分なりの身体的な動作を伴った反応をしている
ということがお伝えしたかったのです。
これまで生きてきた中で、何度も何度も、繰り返し行っているはずです。
そして、それに伴って、状況に合わせた感情も感じているはずです。
何度も繰り返し、ある身体的な動作と共に感情を味あうということは、そこで「反応の学習(レスポンデント条件付け)」が起きます。
身体的な動作に、感情が関連付けされてしまうわけです。
少し、思い出してみてください。
あなたが過去、最高に楽しい感情を感じたのはいつですか?
そして、その時、どんな身体の使い方をしていたでしょうか?
その時のことを思い出しながら、身体の動きを再現してみてください。
分かりやすい動きだけじゃなくて、筋肉の緊張具合、表情など可能な限りリアルに再現してください。
気分、変わってきましたか?
少し纏めます。
私たちは、
過去の経験から、様々な感情を身体的な動作に関連付けしている
のです。
そして、その時の
身体的な動作を再現することで、関連づけされた感情にアクセスできる
のです。
これが、身体的な動作に条件付けされた感情を利用する方法なんです。
続きはまた次回。