これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

本当の自分とは何か?

人は、その人が置かれたコンテクスト(環境や状況、条件等)によって、行動・思考・感情の傾向が変わります。


例えば、

  • みんなでいる時は凄く盛り上げてくれて、なんて明るい人なんだろう〜

と思っていた人が、

  • 2人で会ってみると会話も少なくて、実はこんなに物静かな人だったんだ…意外…

ということもあります。
その後、よくありがちなこととしては、この場合は「後者が本当のこの人」と断じてしまうことでしょうか。


でも、実は「本当の自分/あなた」という考え方自体がナンセンスです。
私たちは置かれたコンテクスト(状況、環境、条件等)によって、行動と思考の傾向が変わります。
なぜなら、それぞれのコンテクストの下で積み重ねてきた経験によって、私たちの行動や思考のパターンが形成されるからです。
あるコンテクストで不安な思いをしてきたなら、その人は安心感を得ようとして、消極的な関わり方をするかもしれません。
また、別のコンテクストではとても楽しい思いをしてきたなら、オープンで、積極的に人と関わろうとするかもしれません。


どれも本当のその人であって、どれかが偽物ということはありません。


ですから、相手を理解しようと思ったなら、いま、目の前での振る舞いだけでもって、その人の全てを決めようとしてはならないということです。

  • 「この人は、こういう場面ではこういう人なんだな。なるほど。」

この程度の理解で留めておいた方が良いでしょう。
別のコンテクストでは、その人の別の面が出てくるかもしれません。
それを知る余地を残しておいてくださいませ。


ちなみに「本当の自分」についても同じことが言えます。
ある場面での自分の振る舞いに失望したからと言って、自分そのものに失望するのはナンセンスです。
上手くいかなかったのは、その場面での特定の行動だけなのですから、それを自分全体に拡大適用する必要はありません。