これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

行動するためのタスク管理とはどういうことか(2) 「いまにフォーカスする」

前回のエントリーより。

私が開発しているO.SHI.GO.TOというタスク管理用Webサービスには、「行動するためのタスク管理」というコンセプトがあります。では、この行動するためのタスク管理とは、どういうことでしょうか。そこをもうちょっと掘り下げたくて、エントリーを書いてみることにしました。


タスクの細分化ができたら、つまり段取りを考えたら、次は実際に行動することになります。行動するときに求められるのは、「いまにフォーカスする」ということですが・・・。

いまにフォーカス

階層構造のリストは、フラットな構造のリストよりも表現力は高いのですが、それゆえに複雑です。その表現力と複雑さは、細分化を考えるときには有効です。しかし、行動しているその瞬間においては、複雑すぎるのです。
行動しているときに必要なのは、「いま何をやっているのか/やろうとしているのか」に関する情報のみです。その他余計な情報は、いまの行動に集中するためには基本的に不要なものなのです。


また、階層構造のリストでは、「いま、やらなければならないことはどれ?」という情報を的確に表現できていないので、実際にどれをやるべきか、都度、その判断が求められます。これでは、せっかく行動を細かく分割しても、行動から行動への遷移がスムーズに行えません。

WBSはどうか?

作業を細分化して管理する方法に、WBSがあります。WBSは作業項目を階層構造で細分化していき、それぞれの項目に対して、作業予定日のところに線を引きます。この「線」があることで、今週やるべきことはどれか、あるいは今日やるべきことはどれか、というのが把握しやすくなっています。

作業リストに抜き出す

とはいえ、タスク管理にWBSを使うのは、いささか「重たい」感じがします。また、取り組まなければならないプロジェクト*1が複数ある場合は、複数のプロジェクトにまたがる「いまやること」を把握するのは、困難なように思えます。
そこで、私がO.SHI.GO.TOに導入したのは、そのときにやるべきタスクを抜き出し、それを別のリストに表示させる、という機能でした。作業リストと呼んでいます。
これで階層構造のタスクツリーから、その時に必要なものだけをピックアップできるようにしたつもりです。

「これをやると決めたこと」と「いまやること」は違う

しかし、作業リストに抜き出す方法は、いまいちでした。いまいちというか、「いまやること」にフォーカスするには、あまり役に立ちませんでした。
作業リストにタスクを抜き出すという行為は、実は「このタスクはやろう!」と決めることなのです。似ているかもしれませんが、これは「いまやること」とは違うものなのです。イメージとしては、「この1〜2週間でこれだけのことをやる」といった感じでしょうか。
まぁ、これはこれで欲しいものなので、作業リストが役に立たないわけではないのですが、残念ながら、「いま」にフォーカスすることは出来ませんでした。

作業リストの中から、更に注目するものを絞り込む

そこで私がやったことは、作業リストから更にいま注目したいものを絞り込むというアプローチでした*2。なんだかイタチゴッコのようですが、取り敢えず「いまやること」にフォーカスすることは可能になりました。


しかし!


やはり安易すぎたのでしょうか。感覚的にいまいちなのです。具体的に何がいまいちなのかは、しばらく見えてなかったのですが、この前、あるWebサービスを見たときに衝撃が走りました。
NowDoThis
これです。これほど「いまにフォーカス」したタスク管理ツールを、私はみたことがありません。というか、それしかありません。無論、これだけでタスク管理の全てが賄えるわけではありませんが、いまやることを管理するくらいであれば、これ以上のツールは無いかもしれません。
使ってみると分かりますが、かなり快適な感覚が得られます。この感覚は、私のとったアプローチでは得られないものでした。


しかし、実は過去に、これと同じような感覚を得ることができた手法がありました。それはDoingリストです。

上から順番にやるというルールで、次に何をやるかとか考えない

優先順位を考えない、というのも楽で良い。単に上から順番にやるだけなのだ。

このルールがあるおかげで、運用が非常にシンプルになる。

もし、優先順位を考えたりするなら、一旦リストにざーっと目を通して考えなければなるまい。それは結構、面倒なものなのだ。

そう、上記ツールから得られた快感とは、行動するときに「順番を意識する」という負荷から、脳が解放される快感だったのです。
Doingリストも上記ツールも上から順番にやっていけばいいだけです。「次にやるものはこれですよ」と自動で教えてくれるのです。これがとても楽なのです。


こうして考えていくと、O.SHI.GO.TOの今後取るべき方向も見えてきます。どうやって、というところに問題はあるのですが。


以下、次回へ。

*1:GTDでいうところの「プロジェクト」を指します

*2:O.SHI.GO.TOでは★マークをつけて、それを絞り込むという機能がそれにあたります