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意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

ラテラル・シンキングで思考を飛躍させる(読書履歴:3分でわかるラテラル・シンキングの基本)

3分でわかるラテラル・シンキングの基本
山下 貴史
日本実業出版社
売り上げランキング: 5060
おすすめ度の平均: 3.0
3 オーソドックスな発想法の本

ラテラル・シンキングという言葉は、勝間さんの本で始めて知った。多分、フレームワーク本だったような気がするのだが、いま手元にないので確認できない。

ラテラル・シンキングとは

本書を読んで、ラテラル・シンキングとは思考を飛躍させる手法だと理解した。対して、ロジカル・シンキングとは、方向が定まっていて、そこドンドン掘り下げていくための手法だ。ロジカル・シンキングも有効なのだが、それだけだと結論が画一的になりがちで、新たな発想を得ることが難しい。そこで、ラテラル・シンキングを使って新たな視点、発想、アイデアを得る。
これからはロジカル・シンキングだけではなく、ラテラル・シンキングも使いこなしていくことが求められるのだ。


ラテラル・シンキングの最大のポイントは、制約から如何にして離れるかにある。そのための最強の問いは

  • それって本当?

である。一つ、本書に載っている思い込みのテストを引用してみたい。

つかの間の休日、父親と息子が郊外を車でドライブしていた。
突然、対向車線から飲酒運転のドライバーによるトラックが飛び出してきた。父親の必死のハンドル操作も間に合わず、車は正面から衝突した。
運転していた父親は死亡し、後部座席にいた息子は頭に大きな傷を負い、早く手術しないと危ない状況である。
幸い、高い技術を持つ脳神経外科医がいる病院へ搬送された。緊急連絡によって、ちょうど国際会議から帰ったばかりの世界的な権威を持つ脳外科医が駆けつけた。
そして、急いで手術しようとしたその瞬間、「私の息子だ・・・」と医師はメスを落とした。
さて、この医師と息子の関係は?

皆さんは分かっただろうか。恥ずかしながら、私は分からなかった。答えは書かないでおくので、是非本書を読んで確認してみて欲しい。
制約は暗黙で存在する場合も多いので、なかなか制約によって思考を縛られていることに気づきにくい。普段から、あらゆることに対して「それって本当?」と問いかける習慣が必要なのだろう。

制約から逃れ、新たな視点を獲得する

我々の思考は、以下の3つの要因によって支配されている。(暗黙の制約に縛られている)

  1. 個人特有のもの
    • 記憶、思い込み、固定観念、気分など
  2. 情報の伝え方
    • どういった情報の伝えられ方をしたのか
    • いつ、どの程度の情報か、ボディランゲージなど非言語的な手段はどうだったのか
  3. 周囲の人々の行動
    • 暗黙のルール、集団の意識など


そんな支配から逃れるためのきっかけは、新たな視点の獲得である。本書には、幾つか新たな視点を獲得するためのヒントが載っている。

鳥の目、蟻の目、魚の目の視点
  • 鳥の目は高く広い視点。全体を見渡し、大きな流れをつかむ
  • 蟻の目は低く絞り込んだ視点。目の前の課題を見て、具体的に何をするのか判断する
  • 魚の目は動体視点。状況・流れ・変化を見て、流れに乗る。
前提いじり

対象に「制約条件」と「目標」という2つの前提があれば、以下のような問いかけで思考を飛躍させる。

  • なぜ、その課題には、制約があるのか?
  • 制約通りにしなくても、いいんじゃないのか?
  • 制約を破ったら、どうなるのか?
  • 何か利用できるものはないの?
マーケティングの視点と組み合わせる
  1. 5W1Hで現状を分析
  2. 3つ選択する
  3. ギャップを生み出す
    • 選択した3つに対して、次のような変化を与えてみたらどうなるか考え、新しいアイデアのきっかけとする
    • 代用する
    • 逆転する
    • 統合する
    • 強調する
    • 除去する
    • 並べ替える
    • これらの組み合わせ
  4. アイデアと実現のギャップを埋める
    • 生まれたばかりのアイデアは、実行するには現実から乖離しすぎている。次のことを考えて、アイデアを実行に移せるようにもっていく。
    • 購買プロセスを考えてみる
    • ポジティブな要素を抽出し膨らませる
    • アイデアが意味を成す状況を考える


他にも

  • 知覚の3つのポジション
  • 思考パターン
  • ポジションマップで新たな評価軸を作る
  • 問題を逆さにみる
  • 独りよがりを排除する「1000万人」発想法

など幾つかのヒントが提示されているので、読んでみると参考になるのではないだろうか。