これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

動機づけしたいなら、もっと行動をみるべきだ

今週の火曜日に、人事コンサルタントの榎本さんとUstream配信。
テーマは「内発的動機づけ」でした。
モチベーション3.0に代表されるように、

  • 金銭的報酬ではやる気をあまり引き出せない(パフォーマンスが落ちる)。もっと内発されるような、自己実現に近い動機の方が良いのだ。

といった考え方に対して、果たして本当にそうなんだろうか?ということを話してみました。


下記から閲覧できますので、良かったら視聴してください。特に後編がオススメです。

金銭的報酬はやる気や創造性を奪うのか?

この記事に掲載されていますが、金銭的報酬を設定した方が、そうでない場合よりも行動が持続しなかったり、創造的な活動ができなかったり、といった事例が紹介されています。
この事自体を否定するわけではありません。
が、単純にこういった事例をみて、

  • 金銭的報酬ではダメなんだ、もっと内発的な動機を使わなければ!

となってしまうのは、いささか短絡的かもしれません。


行動の積極性を決めるのは、その条件下で行動した時に、どんな環境の変化が起きるのかによります。
好ましいことが起きたり、嫌なことが除去されるような変化があると、私たちは行動を繰り返します。
反対に、好ましいことが除去されたり、嫌なことが起きるような変化があると、私たちは行動に消極的になります。


先の記事に、次のような実験が載っています。

有名な実験を紹介しよう。幼稚園児を数日間観察して、「自由遊び」の時間に絵を描いてすごす子どもを見つける。この子どもたちを3つのグループに分ける。第1グループは、絵を描くと「賞がもらえると分かっているグループ」。2つ目のグループは、絵を描いても「賞がもらえることを知らないグループ」。そして第3グループは、絵を描いても「賞がもらえないグループ」だ。2週間後の自由時間に紙とペンを用意して、研究者はひそかに園児たちを観察した。すると非常に興味深い結果が出た。「賞がもらえることを知らないグループ」と「賞がもらえないグループ」の子どもたちは、前回の「自由遊び」の時間と同じくらい熱心に絵を描いていた。いっぽうで、賞をもらえることが分かっており、そのとおりにもらえたグループは、絵を描く時間がかなり減った。

この実験から、報酬を与えると好きなことが仕事になって、消極的になると考えるのには、ちょっと待ったといいたいわけです。
実際に実験を目の当たりにした訳でもないので、ある程度、想定での行動分析になりますが、

  • 報酬を与えることによって、行動と環境変化の関係はどう変わったのか
  • 行動が消極的になる背景に、報酬がどのように影響してたのか

をしっかり見極めないと、短絡的に誤った方向に進んでしまいます。


この辺について、Ustreamでは話をしました。
良かったら観てやってください。