これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

自信の持ち方。あなたは自分のできることを知っているか?

かなり前のことですが、Twitterでなるほどと思うつぶやきを見かけました。昨年現役を引退した、元陸上競技選手の為末大さんのTweetです。

 

全力で試してみた経験が少ない人は、自分の範囲がわからない。範囲がわからない人はできそう、できなさそうという感性が鈍い。ありえない目標を掲げいくらやってもできず肯定感を失ったり、低すぎる目標ばかりを立てたり。勝てない場所で戦い続ける人も自分の範囲に対する感性が鈍い。

https://twitter.com/daijapan/status/296028714767089664

 

前後の文章を読むと、 「全力で試してみて、自分のできること、できないこと(=自分の範囲)を経験として知ることが大切だ」という趣旨だったかと思います。全面的に同意したい内容です。

できること、できないことの実感が無いと、僕たちは「お化け」を作り出します。

お化けというのは、経験の無い・少ないことへの自信と不安を、あまりに大きく捉えすぎてしまうことを指しています。僕は何度もこの「お化け」に振り回されました。今でもそうかもしれません。

 

後々振り返れば、とてもじゃないけど達成できそうもない目標を掲げたり、情報だけで何かを判断し、不安に怯えたりしていました。僕たちは今や、たくさんの情報を手に入れることができます。

情報は、例え経験したことのない物事でも、僕たちに判断するための材料を与えてくれます。これは素晴らしい機能ではあるのですが、反面、お化けを作り出す原因にもなっているのです。

この辺りはバランスだと思いますので、情報の全肯定も全否定も、百害あって一利なしでしょう。現代社会に生きる僕たちは、情報も経験も必要なのです。

ただ、生き方の傾向として、情報過多になりがちなので、実際に経験を積む行動を増やすと良いのでは無いかと思います。手に入る情報が増えた現代社会だからこそ、やってみることの価値が、相対的に高まっています。

 

では、ちょっと頑張ってみようかな、と一念発起したとしましょう。

そうすると次に現れる壁は「全力で頑張るってどういうこと?」だと思うんです。全力で頑張るって、言葉としては分かりますが、何をどう具体的にやったら全力で頑張ったことになるんでしょうか?

 

これが身体的な負担のかかるものなら、まだ分かりやすいんです。

100mを何秒で走れるか、腕立て失せを何回できるか等は、チャレンジしてみれば大体分かるでしょう。全力の出し方も何となく分かります。

でもそういった身体的能力が問われるものではなく、例えばブログを書くといった行為だと、どうでしょうか。全力でブログを書く、ブログを書く行為の限界…と言われてもよく分からないです。

だから自分がブログを書いていて、果たして全力を出しているのかどうか判断できません。もっと頑張れるような気もすれば、この辺りが限界ではないか、という気もする。

 

この判断の難しさは、制約と基準の無さに起因しています。

ブログは、かけようと思えばいくらでも時間をかけれますし、推敲を繰り返そうと思えば何度でもできます。上限が無いため、頑張ってももっと頑張れそうな気がしてしまう。

100m走だったらこうはなりません。100m走ったら終わり。それをどれだけ短時間で走れるか。制約と基準があって、その中でベストを尽くすわけです。

 

だから、全力で試してみようと思った時には、制約と基準を設けておくと分りやすくなります。例えば、このブログを全力で書くぜ!と決意したなら、

  •  ○○というテーマについて、1時間で1000文字以内の文章を書き上げる。それもなるべく分かりやすくな!

みたいな条件設定をしてみるといいです。分かりやすくってところが曖昧ではありますが、単に頑張るよりも遥かにやりやすいでしょう。

1時間と1000文字という制約下で、自分できる限界を試してみることができます。

 

もう少し長めの条件を設定しても良いかもしれません。

  • 今日中にプレゼンの資料を完成させる!
  • 3週間、毎日ブログを更新する!毎回800文字以上でな!
  • 3ヶ月後までに小説を一本書き上げる!質は問わない!

などなど。

 

このようなものを「行動目標」といいます。

予め、自分の限界値付近を想定し、目標として設定します。大切なのは行動の結果を求めるのではなく、行動の質と量、とりわけ量の達成を目指すことです。

結果ベースの目標は偶然に左右されやすいですが、行動目標はある意味努力次第です。だから、頑張ったら頑張っただけ、目標の達成に近づくことができます。

 

このような行動目標に繰り返しチャレンジすると、自然と結果に対する勘所みたいなものも身に付いてきます。

経験として、自分が出せそうな結果が何となく分かってきます。そうすると、自分のできること、できないことも分かってくる。

自分の範囲が分かれば、自分のできることについて自信を持つことができます。

これはできる、これは微妙、これはできない。その判断が正確になってくるんですね。できることには、はっきりと自信を持てばいい。行動目標へのチャレンジが裏付けになります。

 

また、自分の有効活用にも繋がります。

昔の兵法家の言葉に、己を知り~というものがありますが、自分のことを正しく理解するためにも、行動目標へのチャンレンジは有効ですので、お勧めです。