これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

体験に目を向けると「時間が無い問題」は時間管理の問題では無いことが分かった。

多くの人に共通する悩みに「時間がない!」があると思います。今日は時間が無い問題について、考えてみます。

 

僕は以前、時間が無い問題の相談を受けた時は、基本的に「優先順位の問題です」と答えていました。というのも、時間は有限ですので、そこにある時間を何に割り当てるのかを調整するしかありません。

ですので、時間が無いという悩みを抱えている場合、有限である時間を何に使うか、一度考え直してみましょう。どうぜ全部はできないのですから、それならば優先順位の高い方に割り当てた方がいいです。

時間が無い問題は優先順位の問題なのです。テレビを観ても1時間、仕事をしても1時間、家族と過ごしても1時間です。その1時間を何に使うのか?こそが、時間管理において最初に考えることだと思います。

 

 

以上が普通の答え。

で、わざわざテーマに選んでいるくらいですので、当然、もう少し突っ込んで考えてみたわけです。

 

今度は「体験」に注目して考えてみます。

どんな体験をしているのかは、僕たちの日常の質に直結しますので、体験について考えてみるのは結構大切なことだったりします。時間が無いと悩む人は、どのような体験をしているのでしょうか?

 

時間が無いと感じてしまうシチュエーションとしては、次のようなものが考えられます。

  • 抱えた作業と残り時間を比べた時
  • やらずに放置していた作業を、たくさん思い出した時
  • 約束の時間等に遅れてしまいそうな時
  • 十分に寝る時間や余暇の時間を取れない時
  • 締め切りや納期が近づいてきているのに、その仕事が終わりそうも無い時
  • 自由になる時間の少なさを実感した時

これ以外にもあるでしょうが、ざっと思いついたものを書き出してみました。何故、こういったシチュエーションでは、時間が無いと感じるのでしょうか?

いずれにも共通して言えることは「やるべきことにかかる時間 > 使える時間」です。時間が無い状態というのは、やるべきことがあるのにやれない状態だと言えます。

 

やるべきことを抱えているのは、義務感という嫌子(嫌な刺激)を持ち続けていますので、本当は一刻も早く解放されたいと感じているはずです。それなのに、そうするための時間が無いので、ずーっと嫌な気持ちを感じ続けることになってしまいます。

その嫌な気持ちが、僕たちを悩ませてしまうのでしょう。

 

 

人生をベルトコンベアに例えてみると良いかもしれません。

ベルトコンベアには、どこからともなく「やるべきこと」が流れてきます。その量が適正なら、スムーズに処理することができますが、僕たちの処理能力を超えた量がやってくると、途端に流れが滞り始めます。

ベルトに積み上がっていく「やるべきこと」の数々。焦って処理しようとしますが、そもそも処理能力を超えた量がやってくるので無理があります。

これが時間が無い問題を抱えた人の状況でしょう。

 

優先順位を決めるのは、ベルトコンベアから不要なものを取り除く作業といえます。処理能力に見合った量まで減らせれば、ベルトコンベア(人生)は取り敢えずスムーズに流れます。

 しかし、このように考えていると、優先順位を決める以外に、処理能力を上げることで問題を解決できないか?と考えたくなりますね。ベルトコンベアの回転速度なりを上げる方法はないのか、と。

考えてみましょう。

 

 

僕たちのパフォーマンスに関係している要因は、

  • 対象の作業に対する能力レベル
  • 対象の作業に対する動機の種類

の2点です。

能力レベルは分かりやすいですよね。未熟な作業員より、熟練した作業員の方が、当然ながら処理能力は高いはずです。技能に熟練したり、作業の工夫をすることで、場合によっては大幅に処理能力を高められるでしょう。

例えば、私の前職であるプログラマー等は、技術力や作業環境によって、パフォーマンスが大きく変わる職業です。十分に検討してみる価値はあります。

 

もう1つの動機の種類は、どうでしょうか?

ここでいう動機の種類とは、次の2つのことを指しています。

  1. やらなければならない(have-to)
  2. やりたい(want-to)

やらなければならないことは、あまりパフォーマンスがよくありません。というのも、義務感を感じているのが嫌なため、あるいはやらないと嫌なことが起きそうだから、仕方なく行動しているというのが実態だからです。

この手の行動は、必要最低限のレベルをクリアしたら、それ以上は行動しようとはしません。行動量が少なくなるんです。そうなれば、技能はあまり伸びませんし、積極的に工夫しようという気にも、なかなかならないでしょう。

 

反対に、やりことというのは次から次に自発的に求めます。やればいいことがあるので、行動量はどんどん上がっていきます。自然と技能も伸び、創意工夫にも積極的なので、パフォーマンスもどんどん良くなっていくことでしょう。

なので、ベルトコンベアの処理能力を上げるには、「能力レベル」と「動機の種類」に注目してみましょう。

 

 

…さて。

 

ここまで書いてみて、ふと気づいたことがあります。これが今回のオチ。

ベルトコンベアに流れてくるものが、"やるべきこと"ではなく"やりたいこと"だったら、僕たちは一体、どう感じるのでしょうか?

そうすると今度は「やりたいことにかかる時間 > 使える時間」という状態ですが、それでも僕達は悩むのでしょうか?

 

やりたいこと…、例えば、楽しみにしている漫画・小説が、読み切れないほどたくさん待っている状態です。読んでも読んでもなくなりません。想像してみると、僕は寧ろワクワクしちゃいます。

やりたいことが多すぎるのは、どうも問題とは言えないように思えます。

 

とすると、僕たちが時間が無い問題に悩んでいる時、それは時間や処理能力の問題では無いのかもしれません。ベルトコンベアに流れてくるのが、"やらなければならないこと"だから悩むのではないかと。

つまり、そういった作業が増えやすい環境を作ることになった、ここまでの「選択の積み重ね」が問題なんです。もし、違う選択を積み重ね、"やりたいこと"が増えやすい環境だとしたら、時間が無いと悩むことはほとんど無いのでは。

 

というわけで結論。

時間が無い問題は、視点を変えてみると、実は選択の問題であるとも言えます。時間が無いという悩みを解決したいのなら、やりたいことが人生のベルトコンベアに流れてくるように、少しずつ環境を作り上げるように選択していくのが良いのではないかと。

 

いかがなもんでしょうか?