これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

内発的動機という幻想:弁別刺激と強化スケジュールの問題だよね。

ABA-LABO読書会から、面白い部分をテキストでピックアップ!第2回目『メリットの法則』読書会の31:10付近から。

https://www.youtube.com/watch?v=mo3G3iTK19c#t=31m10s

登場人物:榎本、齊藤、塚本、矢野(五十音順、敬称略)

 

榎「子供達分り易いですよ、とても。」

塚「勿論子供は経験した事の無い事を、親がさせる訳ですもんね。」

榎「そうそうそう」

塚「それをどうやって継続させるか。」

榎「望ましい事をしたら、さっきの矢野さんじゃないですけど、大袈裟に褒める、みたいな感じ。」

塚「うちが、まあ、嫁がどうしても口喧しくなっちまうんですけども、この間改めて何パターンか(試そうと思い)、実際に「これをやったらご褒美あげるよ」って、」

榎「レッパーの実験みたいな感じですね。」

塚「何パターンか、はい、子供に対して。で、やった後にサプライズをやったり。何パターンかやってみて。嫁に「自分で体験してみなよ、子供達がどういう反応するか」っていう事で。

塚「やったらやはり、やった後にサプライズで子供達の好きな、まあそんな高い物じゃないんですけど、市販の美味しい物を買って来てあげたら、凄い喜んで。」

塚「そしたら次…別にこっちから言わなくても、「どうした?」っつったら「ああ、もう終わってるよ」って。おお!凄いじゃんって。今まで、こう、分かっていても、親がねどうしても、」

榎「言っちゃいますよね。」

塚「例えば勉強は、「宿題は?」とかって言ってしまう部分はあるんですけども、そこは」

榎「そこは、じっと我慢して。望ましいことを出た所をタイミングを見失わず強化する。」

塚「つい親だから。「これやったらこれあげるよ」みたいな事をつい言ってしまうんですね。」

榎「宿題終わったら、じゃあテレビ観て良いよーとか。」

塚「うんうん、ゲームやって良いよーとか。」

一同「ああー、うんうん。」

榎「それは駄目なんですよね。」

塚「確かにそれをやってしまうと、その場は良いんですけどね。ゲームをやりたいから勉強をやる、みたいな。それが終わっちゃうと次の日はもうバタン。同じ事で。なんか、行動が上手く進まないというのが。」

矢「何故でしょうか。」

齊「その二つってどう違うんですか。」

榎「レッパーの実験っていって、三・四年位前に出た『モチベーション3.0』っていう本では、それを内的…何でしょう、動機付け?って言ってるんです。」

齊「聞いた事ありますね。」

榎「外部から所謂報奨だとかインセンティブで行動を引き起こさせるのは、続かないよ。本人が自分からやりたいと思った事だと続くよっていうような、『モチベーション3.0』では解説してるんですけど。」

一同「うんうん。」

榎「行動分析学に傾倒している私なんかは、いや、そうじゃないよと。あれは単に、ご褒美を出すっていう最初の条件付けじゃなくて、条件付けを外して、それだとほら、弁別刺激で先生が居る時しか勉強しないのと同じように、条件がある時しかやらないっていう事なんで。」

齊「ああ、うんうん。」

榎「で、あとは部分強化。定例スケジュールでご褒美をあげちゃうと飽和してやらなくなっちゃうんで、ギャンブルじゃないですけど、「頑張ったけど出ない→なんで→頑張ったけど出ない→今回(出た)わあ凄い!」ってなる部分強化の方が行動が継続する。」

矢「ああ、成る程。」

榎「っていうのをデザインしてるのかな。」

矢「ご褒美をあげるよっていうのは、つまり、青信号を提示しているようなものですよね、横断歩道に於ける。」

榎「そうそう。そういう事ですね。」

矢「ふうん…、そっかあ。僕はあれ、好子消失の阻止で行動しているのかなと思ったんですけど。ご褒美の約束をすることで。」

榎「そうそうそう、それもそうだと思います。まさしくそうだと思います。」

矢「好子消失の阻止。」

榎「やんなきゃご褒美が貰えない。」

矢「約束されたご褒美っていうのは既に好子で、行動すればその好子の消失を阻止する事が出来る訳ですよね。」

齊「ああ。なんか消極的ですね。」

矢「でもサプライズはきっと好子出現なんですね。」

齊「うんうんうん。」

榎「自分の娘なんかですね、私がラベル貼っちゃいけないんですけど、(私は)小さい頃から凄い消極的だったんですよ。書いてって言ってみても「いえいえいえ」みたいな感じで。妻もそんな感じなんですけど。」

一同「(笑)」

榎「異常な程ポジティブで、もう五・六年前からそういうのを実験してるんで。最初から頑張ったらあげるっていうのを言わないで、「そんなの子供がやるのは当たり前でしょ」みたいに突き放しておいて、何か頑張って終わらせたら「凄いじゃーん」ってサプライズで強化してきたんで、お陰様で異常にポジティブになり過ぎて。はい。」

齊「へええ。」

榎「妻は「なんで、誰に似てこんなにポジティブなのかしら」みたいな感じになっちゃったりはしています。」

矢「成る程。これは、何か(凄いこと)やらかすな。凄いな。」

齊「宿題とかやらなかった子が、やるようになるまでを忍耐で耐え忍ぶんですか、ずっと。」

榎「そこがデザインだと思うんですよ。最初のうちは引き起こさせるのをやるんですよ。そのうちにやるだけじゃ何も反応しなくして、あれえ?みたいな感じで。」

齊「うんうん、うん。」

榎「猫が手を出しただけじゃ餌貰えないのと同じ。そうするとね、歩き回ったり、ニャーニャー鳴いたり。要はバーストも含めて色んな行動をし出すんですよね。で、望ましい時に強化してあげるっていうのを、ちゃんと。」

塚「確かに。」

榎「減らしていって増やす、減らしていってサプライズ、みたいなのをちゃんとやれば良いのかな。」

 

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