僕は考えることが大好きです。
考えるって面白いんですよ。何故かっていうと、僕たちの思考には必ず壁があるからです。壁というのは、思い込みや固定観念みたいなもので、それ以上先の答えが出なくなって、思考が停止するところです。
思考の壁には、何かのテーマについて「なぜ?」と問いかければ、すぐにたどり着くことができます。
僕たちには「○○とは××である」という、たくさんのの固定的な確信がありますが、思考はこういった確信を起点としています。
なぜ、そう思うんだろう?
なぜ、そう思うんだろう?
と繰り返し思考の根拠を問いかけていくと、どこかで必ずこの確信(○○とは××である)にぶつかるんです。そこで更に問いかけるわけです。
なぜ、○○とは××だと考えているんだろう?
ここでピタッと思考が止まります。確信というのは、本人にとっては世界の絶対法則であり、”なぜ?”と問いかけるまでは欠片も疑ったことのないものです。だから、そこを突いたり突かれたりすると、どうしてもすぐには答えが出てきません。
でも、そこで諦めずに考え続けていると、バババッと何かが繋がって、「あ、そうか!と気付く瞬間があります。この"壁を超えた瞬間"が、めちゃくちゃ楽しいんです!一気に世界が広がって、あれやこれやと思考が広がります。
思考の壁を発見し、それを超えることは、僕にとっては無類の喜びです。
このような思考の壁を見つけたり、乗り越えるための思考方法は、ざっくりと3通りあります。
1つ目は、既にご紹介した”なぜ?と繰り返し問いかけていく「深める思考」”です。やっていることは単純なんですが、一人、静かに海の深い所へと沈んでいくかのようです。
せっかくなので、具体例をあげながら話を進めましょう。ちょうど僕は、この記事を書きながら、ある思考の壁にぶつかっています。それは、「なぜ、思考の壁を超えた瞬間をこんなにも楽しく感じるのだろうか?」というものです。
僕はここまで、壁を超えるとめちゃくちゃ楽しい!と、確信を持って書いていますが、その理由は語りきれていません。この記事を書きながら、その思考の壁を超えてみたいと思います。
深める思考で壁を乗り越える場合、色々な仮説を立てることが多いです。ですので、ここでも仮説を立ててみようと思います。
壁を超えることが楽しいのは…
- 人間が考えることに積極的になるように、生理的な反応が遺伝的に組み込まれているから?
- 脳の機能的な側面から調べれば答えがあるかも?
- 行動分析学的には、嫌子消失と好子出現が同時に起きてるけど、そもそもその好子が好子足りえるのは何で?
といった考えが浮かんできます。が、どれもピンと来ません。壁を超えた瞬間というのは、本人には結構はっきりと分かるものです。
では、別の思考方法を使ってみましょう。2つ目の思考方法は、”思考の空白を捉える「拡げる思考」”です。一番分かりやすいのは、2×2のマトリックスに思考を展開することです。
例えば、いま取り上げている例だと、
- 壁にぶつかる・壁を超える
- つまらない・楽しい
という2つの軸で考えてみることができます。
僕はここまで、壁にぶつかってそれを超える瞬間が楽しい、と書いてきました。壁にぶかっている間は、答えがさっぱり見えてこないので、どちらかというと辛い状態です。
つまり、
- A.壁にぶつかって、つまらない状態
から
- B.壁を超えて、楽しい状態
に移ることを対象としているわけですね。ここで、全く考えていない領域があることに気づきます。つまり、
- C.壁にぶつかっているけど、楽しい状態
- D.壁を超えたけど、つまらない状態
もあるかもしれない、ということです。
このような全く考えていない領域のことを、僕は「思考の空白」と読んでいます。思考の空白領域について考えてみると、新しい気付きを得て、思考が途端に進み始めることがあります。
で、壁を超えることが楽しい理由について2つ目の思考法で考えてみましたが、やっぱりいまいちピンと来なかったので、次に移ります。3つ目は、”情報と情報の新しい組み合わせを作る「つなげる思考」”です。
つなげる思考は、本を読んだり、誰かの話を聞いている時など、興味のある情報をインプットしている時に自動的に起こります。
- あ、なるほど!
という瞬間は、誰しも経験したことがあるのではないでしょうか。
インプットする以外にも、思考している対象に似た構造を持つ喩えを探してみるのも、情報の新しい組み合わせを作り出しますので有効です。
そもそも壁を超える瞬間というのは、脳内にある概念同士が新しい繋がりを生んだ瞬間です。だから「つなげる思考」は、思考のゴールと言ってもいいくらいだったりします。
3つの思考方法を紹介してきましたが、実は深める思考も、拡げる思考も、つなげる思考のための材料作りなのかもしれません。
さて、この辺りでピンと来ました。概念の新しい繋がりが壁を超えるのだとして、この構造って何かに似てるなぁ、と思ったのです。で、思い当たったのが「アイデアが生まれる瞬間」でした。
新しいアイデアの創造とは、既存の要素の「新しい組み合わせ」に気づくことなのですが、これはまさに「つなげる思考」そのものです。
壁を超えるのが楽しいはずです。
だって、思考する本人にとって「思考の壁を超えることは、世界を創造することに等しい」のですから。
創造とは、新しい組み合わせの発見です。何かと何かが繋がった瞬間は、創造の瞬間。僕たちは自分の認知を通して世界を自分に取り込みますので、思考の創造によって認知が変化することは、大小あれど、本人にとっては世界の変化に等しい出来事なのです。
大げさに言ってしまえば、
- 思考とは「世界を創造する行為」=「神の行為」
なのです。
こんなの楽しいに決まってるじゃないですか!(ハッ、また壁が)