これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

罰的なアプローチの危険性を認識しておく。

ABA-LABO読書会から、面白い部分をテキストでピックアップ!第3回目『メリットの法則』読書会の1:08:34付近から。

http://www.youtube.com/watch?v=VWmpcKirpcw#t=1h08m34s

 

登場人物:榎本、齊藤、塚本、矢野(五十音順、敬称略)

 

榎「じゃあ最後、宜しいでしょうか。」

矢「はい。」

榎「『アメとムチという発想を捨てよう』です。前ちょっとお話したかもしれませんが、パラパラっと何処かの本屋で読んだのでも、「アメとアメなし」っていう言葉が出てたので、結構もう一般的になってるんですかね?アメとアメなし。」

矢「分からない。」

榎「ここでもその「アメとアメなし」が出てます。で、行動分析学について誤解してる人は、「罰と褒めるのとを使い分けてやるんでしょ」、「駄目な事は罰して、良い事は褒めて」みたいな、アメとムチを使う事でしょっていうふうに誤解している。」

榎「思い込んでる。いや、決してそんな訳ではないんだよという事ですね。やっぱり、昔の実験の電気ショックとか、ああいうイメージが強いのかもしれないですが。」

一同「(うんうん)」

榎「一個前の例に戻って、[目的のアプリ画面無し ⇒ 関係無いボタンを押す ⇒ 目的のアプリ画面無し]。何か押しても、行動した結果何も変化無ければその行動は消去されていく、と。これは消去。で、[目的のアプリ画面無し ⇒ 関係無いボタンを押す ⇒ …」

矢「それ多分「正しいボタンを押す」だと思う。」

榎「正しいボタンですね(誤植)。失礼しました。正しいボタン、を、押す…。前の所はなってたけど、これごめん、そのままコピーしちゃった。」

一同「(資料に訂正の書き込み)」

榎「正しいボタンを押すと目的のアプリがあるっていうのは好子が出現する強化。この二つで、それぞれ適切な望ましい行動っていうのは、ちゃんとやっていけるんだ、というような事です。」

榎「だからムチじゃないんだと。アメなしなんだと。消去と強化なんだという事ですね。」

榎「で、下は(資料を指しながら)バッティングの練習でしょうか。最初は何も「良し」っていうのが出てない状況で、間違ったやり方のスイングをすると、何も言わない。「良し」無しそのまんまで変化が起きないから、消去されていくと。その間違ったスイングは。」

榎「で、「良し」無しの状況が、正しいスイングをした時「おお良いね、よしよし」で良しっていう環境の変化が現れた、刺激の変化が現れた。これが強化。だから同じように、ムチとアメではなくて、アメなしとアメ。ちゃんと望ましい、正しい行動というのは繰り返す事が出来るようになっていくよと。」

矢「(うんうん)」

榎「上段は間違ったフォームでスイングしてしまう行動は消去されるダイアグラム。下段は望ましいフォームでのスイングをした時に好子出現による強化が生じるダイアグラム。」

榎「これを同時に進行させる。やっていく、やっていく、やっていく。ちょっと違うと、ここもシェーピングが入ってくるんでしょうね。」

矢「でしょうね。(うんうん)」

榎「最初はただ振るだけで「よしよし」って言う訳ですよ。その内軌道がちょっと違ってたら、何も言わない。あれあれ?と思って、色んな事をやってみたり回数が増えたりして、良い(スイング)が偶々来ると「良し」って言う。っていう感じで正しいスイングを作っていく、という事です。ムチは必要無いという事ですね。」

塚「(うんうん)」

榎「最後、この章の纏めでムチの副作用っていうのがあるんで、やんない方が良いですよっていう事を言われてます。」

榎「まず、行動自体を減らしてしまうと。結局何かやると罰があるって事は、何もやらなければ罰はないっていう事なんで。」

齊「うんうん。」

榎「叱られないようにする為に何もしないようになる。所謂積極性が失われ易い。最初は間違った行動が多くなる事が多いでしょうからね。出来ない状態では。そこで罰をやっちゃうと、やんない方が良いんじゃないかっていう感じになっちゃう。」

矢「ふんふんふん。」

榎「で、2は、何も新しい事を教えた事にならない。ここでは、新しい行動っていうのは強化と消去の組み合わせによって生まれるっていうふうに解説しています。」

一同「うんうん。」

榎「まあ、罰しても新しい事には繋がらないって事ですかね。消去した方が、新しい事が出てくるという事かなと思います。罰だとやらなくなるだけっていう事なんでしょうね。」

矢「(うんうん)」

榎「3、一時的に効果があるが持続しない。回復の原理があると。叱られないと行動しないのであれば、常に叱ってる人が居ないと回復していっちゃいますよ、と。間違った行動が、って事でしょうかね。」

榎「4番、弱化を使う側は罰的な関わりがエスカレートしがちになる。」

齊「ああー。」

榎「相互にね、人が居る訳ですから、罰を与える方にも強化の原理とかが働いちゃう訳で、虐待に繋がり易い危険性を孕んでると。」

一同「うんうん。」

榎「弱化を使う側は、「どうして何度言っても分からない!」って考えがちになる。叩く強さやペナルティが徐々に増していってしまう。」

矢「消去バーストですよね、それ?罰を使う側の。」

齊「そうですよね。」

榎「そうでしょうね。やったんだけれども、結果が出てこない、好子にならない、ちゃんとやらないから、って色んな事をやっちゃう。」

一同「うんうん。」

榎「5、弱化を受けた側にネガティブな情緒反応を引き起こす。極度に人を恐れたり恨んだりする事が起こり易い。或いは自分は駄目だと思い込んで非活動的になり、所謂、自尊心が傷付いた状態に陥り易い。感情の所に触れてます。でも、本当にそうなんだなあと思います。」

矢「(うんうん)」

榎「行動分析学的な表現ではないかもしれません。」

 

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