これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

そのルール、本当に正しいですか?

前回からの続きです。

今回も「思考は刺激反応連鎖によって自発する」についての話です。
少し復習しておきます。
まず、刺激反応連鎖とは、

前の行動をきっかけとして、連なるように次の行動が自発する

ことを言います。


思考の場合、「ある刺激」を元に「決まった思考のクセ」が起きやすい、ということが言えます。
例えば、

条件:部長が客先から戻ってきた。
思考:確か先週もめてた案件の打ち合わせだったな。
思考:心なしか機嫌が悪そうに見える。
思考:近くにいると八つ当たりされるかもしれない。嫌だなぁ。

といった思考をするかもしれません。


こういった思考は、自己ルールの生成も同時に行っています。

  • 先週もめてた案件の打ち合わせだから、機嫌が悪いはずだ
  • 機嫌が悪い部長の近くにいると、八つ当たりされるかもしれない

などです。
そして、私たちはルールに沿った行動を取ろうとしますので、生成されたルールに従い、次のような行動を取るかもしれません。

行動:タバコを吸いに行く
結果:部長の八つ当たりを避けることができた!(と思い込む)


このようなメカニズムが分かったところで、これをどうすれば私たちの日常の改善に役立てることができるのでしょうか。


思考も行動ですので、行動を変えるためのポイントは2つです。
即ち、「条件を変える」または「結果を変える」です。


これまでに条件を変える3つの方法をお伝えしてきました。


前回から「結果を変える」ことについて、考察を始めました。
その中で、私たちは「ルールを得ることそのもの」を「いいこと」として認識しています。(詳細:http://d.hatena.ne.jp/h-yano/20100801/1280688993
ですので、如何にネガティブなルールであろうとも、どんなにネガティブな感情を引き起こすものであったとしても、そのルールを想起することは「いいこと」になります。


ではどうするのかというと、以下に尽きます。

自分の行動の背後にあるルールの存在に気づき、そのルールの妥当性を意図的にチェックする


今回は、その具体的な方法について触れたいと思います。
目的は私たちにネガティブな結果をもたらすネガティブなルールの存在に気づき、その妥当性を確認することです。


ネガティブなルールの存在に気づくための最大の手がかりは、実は「ネガティブな感情」だったりします。

  • 先週もめてた案件の打ち合わせだから、機嫌が悪いはずだ
  • 機嫌が悪い部長の近くにいると、八つ当たりされるかもしれない

こういったルールを想起した場合、大抵の場合、ネガティブな感情も伴っていると思います。


他にも、

  • 会社には不満があるけど、今は不況だから転職できない

というのは典型的なルールですが、これを想起することも、やはりネガティブな感情を感じることでしょう。
このように、ネガティブなルールはネガティブな感情とセットになっていることがほとんどなのです。


であるならば、ネガティブな感情を感じた時に、その背後にあるかもしれないルールを探ってみるのも1つの手といえます。

  • 今、私がネガティブな感情を持つために、私が信じているルールは何だろう?

シンプルですが、そんな問いかけによって、ルールを彫り出すことも可能です。(慣れは必要ですけど)


一度ルールを発見できたら、次はルールの妥当性をチェックします。


次のような問が使えるでしょう。

  • もし、このルールが間違っているとしたら、本当は何が正しいのだろう?

一旦、仮定でもいいので、自分のルールが間違っているという視点から考えることで、今までとは全く違った世界がみえてくることもあります。


是非、お試しあれ。


さてさて。
数回に渡って取り上げてきました「思考の刺激反応連鎖」ですが、一応、今回で終了にしたいと思います。
次回からはまた違ったテーマで。