これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

悩みの悪循環から抜け出す『受け入れる力』

前回の記事で、問題には次の2つの側面があります。

  • 自分の外側で実際に現象として発生している問題
  • 上記に関連した、自分の内側で起きている「感情的」な問題

そして、私たちが解決したいのは、後者の感情的な問題の方です。
極端な表現をすれば、


『自分の身の回りでどんな出来事が起きようとも、自分の心が平穏で安定していれば、何の問題も感じない』


ということです。


私たちが問題を抱えてしまった時、それが容易に解決できる問題であれば、私たちはすぐに解決し、物質的にも感情的にも平穏を取り戻せます。
しかし、物質的な問題の解決に困難さや、中長期的な取り組みが求められる場合、厄介なことになります。
私たちの動機は「感情的な問題の解決」ですので、そのために一番効率の良い選択を取りがちなのです。


その結果として起きるのが、所謂「回避・逃避」という行動です。
一時的な快楽に逃げたり、誰かを怒鳴ることで、感情的に自分を救おうとします。


これらの手段は、物質的な問題に対しては、何の解決にもならないのですが、感情的な問題に対しては、すぐに、確実に効きます。
もちろん、実質的には全く問題が解決していませんので、中長期的に問題を抱えたままとなってしまいます。
こういったメカニズムを知ると、

回避や逃避をしてしまう自分、または他人を責めたくなりますが、
実は、そこに最も危険な罠が待っているのです。


人の思考とは不思議なもので、押さえようとすればするほど、同じくらいの力で反発します。
自分を責めるとは、まさにそのような行為になります。


こんな自分ではダメだ。
その思考は自分の中に心理的な欠落をもたらします。
何かが欠落すると、私たちはそれを埋めたくなりますが、その際に発生する感情はネガティブなものです。
ですから、自分を責めれば責めるほど、ネガティブな感情に苛まれることになります。


他人を責めた場合はどうでしょうか?
責められた本人にとって、それは心理的な欠落をもたらすものです。
そうすると、相手からはますますネガティブな反応が返ってきます。
責めるという行為は、その傾向として、感情的な問題をますます強めてしまうことになります。


そうすると、私たちにできることは、

理想的でもない、至らないところの多いかもしれない
自分や他人の在り方を「意志を持って受け入れる」ことなのです。


あきらめて受け入れるのではない、ということに注意してください。
受け入れるとは受動的な行為ではなくて、私たちが自らの意志を持って行う能動的な行為なのです。
この状態を作ることで、負の連鎖から抜け出すことができます。
悩みの底無し沼から抜け出し、もっと自由な人生の海へ。
私たちは「そうする」ことができるのです。


参考書籍

今回ご紹介した考え方は、マインドフルネスやACTと呼ばれる認知行動療法の1つです。
ポジティブ思考で無理矢理頑張るのではなく、自然に今の状態を受け入れながら心理的な柔軟性を作る方法です。
専門書籍だと難解ですが、下記の本であればとても読みやすいかと思います。