これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

ルール支配行動:言語刺激による擬似的な行動の学習。

ABA-LABO読書会から、面白い部分をテキストでピックアップ!第2回目『メリットの法則』読書会の1:32:30付近から

https://www.youtube.com/watch?v=mo3G3iTK19c#t=1h32m30s

 

登場人物:榎本、齊藤、塚本、矢野(五十音順、敬称略)

 

榎「そこは実際には、本当の弱化・本当の強化ではなくて、ルール支配行動による強化もどき・弱化もどきをやってんだとは思うんですけれども。」

矢「はいはいはいはい。」

齊「今のその、ルール支配行動っていうのは、どういう事ですか?」

榎「ええと、私の中では言葉で疑似体験みたいな、そんなイメージですけれども。」

齊「はあ〜。」

榎「人間には言語があるんで、こうなったらこうなるんだよっていう事をルールとして働かせる事が出来る。」

齊「(うんうん)」

榎「矢野さんが前、(セミナーを)やった時に、凄い印象に残ってる事があって。」

矢「はいはい。」

榎「この会場は工事中なので出口が変わりますって言う。本当は体験しないと分からないのに、言葉でそう説明されると疑似体験みたいな事で、そうなんだっていうふうになって出口に足を向く行動っていう事がコントロールされちゃう。」

齊「ああ、面白い。」

矢「そうそうそう。帰りはあっちから出ないといけないんですよ(と参加者の人に伝えて…)」

榎「(後で)嘘ですぅって言ったんですよ(笑)」

矢「ははははは。」

齊「うんうんう。あははは。」

榎「ああ成る程ね、と思って。それがルール支配行動(ウソかどうかに関係なく学習っぽいことが起きる)。」

矢「そうですね。」

榎「例えば、一人で沼に行ったら危ないよっていうのも、本当は行かないと危ないとか、水で溺れる体験とかして初めて弱化があるんだけれども、」

榎「言葉で「こうなったら危ないですよ」、「こうなったら湖に沈んじゃいますよ」っていう事で弱化をさせる事が出来る。でもこれは実際の弱化ではなくて弱化もどき。」

齊「うんうん。」

榎「という事なのかなっていう解釈。」

齊「成る程。だから言語が分からない動物には通用しない。」

矢「通用しないです。」

榎「通用しないという事ですね。はい。」

矢「多分、人はルールに沿った行動をするって事を、もう学習してるんですよ。」

矢「ルールに沿わないって事に対して凄く嫌な物を感じて、多分嫌子があるんですよ、ルールに沿わないって。(ルールに沿うことは嫌子出現の阻止?)」

齊「うんうんうん。」

矢「だからルールがある程度は機能する。」

榎「ある程度かな。」

矢「(首肯)ある程度。」

榎「さっき言った、やってみないとやらないっていう事は、これは凄く良いからやってみなって言ってもやらないのは、所詮やっぱりもどきなのかな、っていう感じですよね。」

矢「そうなんですよね。」

齊「うんうん。」

榎「実際にやって体験して凄い良かったら強化になる。まあこれは、あくまで可能性ですけどね。かなり高まる。」

矢「ルールで何か物事を教えようとする時って、こういう事をある程度正確に表現した方が良いと僕は思ってるんです。」

矢「例えば、これやったら絶対上手くいきますよって言って、やって上手くいかなかったら、そのルールはもうそこで消えちゃうんですよね。」

齊「うん。」

矢「でも、これやったらこういう事も起きるかもしれないけど、こういう事が起きて良い事がある可能性も有るよ、みたいなふうな表現の仕方の方が、ルールの持続性って多分あるんですよね。」

齊「うんうん。」

矢「で、ルールが持続してる間に実際に体験をして良い思いをすれば、その行動は続き易くなる、筈。」

齊「成る程。」